津波で被災したプレス

2011年3月11日、未曾有の大災害が日本を襲い数多くの工場が被災しました。これからご紹介するのは東日本大震災で被災した機械のオーバーホール記録です。津波の被害を受けたC型250トンプレスの修理の様子を御覧下さい。

被災時の状況

津波の襲来により建屋が倒壊し、機械設備が水没してしまいました。鉄の塊であるプレス機械はその重さのために流出は避けられたものの塩水に長時間漬かっていたため、電気系統および機構部分に深刻な損傷が及んでいて、各部が錆に覆われていました。

自社工場に機械を搬入し、スライド、バランスシリンダー、ボルスタ、電気系統などの部品を取り外してフレームのみの状態にして、フレームを清掃した後に塗装します。

塗装が完了したら、ギブ、スライド、およびボルスタを研磨し本体に取り付けます。そしてバランスシリンダーもパッキンを交換した後に取り付けます。潤滑配管、空圧配管は新品を取り付けました。

電線を引き回したら、修理済みの操作盤を取り付けます。操作盤には電子カムとミス検知装置が追加されました。

被災前の機械はモータをスターデルタ駆動していましたが、インバーター駆動に改造することで省エネ化を図りました。そしてリレーを多用した制御回路もPLCを使用した現代的なものに変更されています。

最後に試運転を行いオーバーホール完了となります。こちらの機械はその後、建材メーカー様にお買い上げ頂き、現在に至るまでライン組み込み機として活躍しています。